No.6<エゴとは> | 眠れぬ夜に思うこと(人と命の根源をたずねて)

No.6<エゴとは>

エゴとは、簡単にいえば、生命活動の原動力だろう。自己保存、自己保身、自己増殖。そこにあるのは、常に自己と自我のみ。他者を省みない利己の総称。
扱いを間違ってはいけないもの。決して主導権をゆずってはいけないもの。
仏教哲学でいうところの渇愛に近いものであろうか。

私はエゴを否定している立場ではない。子孫繁栄、文明、文化の進歩発展を促す力はエゴに由来すると考えているからだ。
我々の意識に湧き起こる印象それ自体は、神性な場合もあれば、邪悪な場合もあろう。そこに成される判断も、実際の行為も、また同様なのではなかろうか。それ故、冷徹なる監視者たる理性の働きが重要になる。
エゴと戯れる余裕と、それをよく従える強固な意志と節度が必要だ。同時に、他人のエゴを受け容れてやる度量も必要になってこよう。それなくして調和を実現することはできないからだ。

一方、エゴの統御、愛の顕現はそう簡単には実現できそうにない。
なかなかエゴの統御を実践できない理由。
これは危機感の問題であろう。
今日の惨状を生み出した根本原因に対する自覚のなさが招いた結果なのではなかろうか。
それ故、まさに今、愛を声高に叫ぶことに意義があると私は考えている。今だからこそ、皆真剣に己のエゴと向き合うことができるのではなかろうか。
そういう意味で、我々は恵まれた時代に生まれ合わせたといえるのかもしれない。
霊的進化においてはチャンスであるとも考えられるからだ。
世の中が平和であれば、このようなテーマを真剣には考えないものなのではなかろうか。